百三十八歩目 カルチャーショック
2018.8.15[Wed]
どうして、子どもの時の記憶がたくさんある人と、とても断片的で曖昧な記憶の人とに分かれるのか不思議に思ったことがあった。
ボクは完全に後者。
強烈な記憶として残っているものは、何かしらの感情と結びついているものだけ。
喜びや悲しみ、嬉しさや淋しさなど色んな気持ち以外にも、例えばショックな出来事なんかも残っている。
カルチャーショックとは、自分の中の「当たり前の枠」が壊れる瞬間だと思う。
−
小学生の内に旅をすること
まずそもそも
「どうして小学校を卒業するまでの間に一緒に旅に出たいの?」
と質問されたことがあった。
シンプルに言ってしまえば、
・世界は広いんだということを感じてもらいたい。
・自分にはできることがたくさんあるんだと自分の可能性を感じてもらいたい。
・そして一番は、生きる力を身につけてもらいたい。
そんな理由。
どうしてそれが良いことなのか?と聞かれれば、
多くの失敗と心病んだ時間、そしてその後10年ほどカウンセラーとしてたくさんの人の心に触れ、分かったこと
それは、
・体験、経験の大切さ
・五感を使って生きること
・自分に向き合う時間が必要
それらが、自分の人生を豊かにしてくれるから。
−
*これは子どもアイデア楽工の山上校長との会話の中で自分の考えと重なったまとめ。
知識は経験によって知恵に変わる
子どもと会話をしていてドキッとさせられることの1つに
「無理」「出来ん」「ありえん」
という、自分自身を引き下げる言葉と向き合うことがまぁまぁあって、
情報が溢れすぎている日本の社会では、無意識の内に日常的に根拠のない情報のシャワーを浴びせ続けられるからかなぁと思ったりする。
偏った情報の正確さを氣にすることなく頭でっかちになり、日常的に自分を正当化する材料を手に入れ、疑いや関心を持つこともなくなる。
ちょっと嫌な気分になるのは、語れるだけの体験のない人が、あたかも自分の言葉のようにもっともなことを教えようとしてくれること。
ボクも言い訳のプロだけれど、良くも悪くも、子どもの価値観の半分はそんな大人の影響で作られてしまう。
他人の悪口を聞かせられればそのように、
儲けることが全てとなればそのように、
親の言うことを聞いていれば間違いないとなれば、子どもの心はそれなりに出来上がってしまう。
これから大きく変化していくだろう日本の未来をボクはまったく想像できないので、ウチの子どもたちには、せめてどんな時も流されることのない生き方を身につけてくれればと願う。
知識は後からいくらだって手に入れられる。
まずは経験値を上げること。
そのためには小さな挑戦しかない。
−
文化の違い
バックパッカーをしていた頃は、
「人はひとりでは生きていけない」
この意味がよく分からなかった。
自分の目で「世界を見る」ことだけに楽しみを見つけていたから、まだ見ぬ新しい世界に触れ、自分が楽しければそれで良かった。
「癒し」という言葉を生み出した文化人類学の上田先生のお話会で、
「『人』と『人間』の違いが分かりますか?」と質問されてから、
「セカイを観る」という視点を手に入れ、少しながら相手を意識するようになった。
この2つの「せかいをみる」ことの違いは、
外国という世界と、今を生きる人々が個々の内に持つ自分自身の世界観(価値観)というフィルターを通して見ているひとつひとつの小さなセカイ。
例えば、価値観のズレが続くと、ちょっとしたことで感情的になったりしやすく、人との対立も起きやすい。
人との間にあるこの世界観や価値観の違いが大きいほど、お互いを尊重し合うのは難しくなる。
それでも人は誰かとの関わりの中でしか行きていけないことが分かった。
だからボクは外の世界にもっと求めたのだろう。
旅は、その他者との違いを腑に落とすには絶好の場だと感じている。
−
親から愛された記憶
ボクは厳しい親の元で育ち、学力は乏しく偏差値も平均以下、高卒。
弟は国公立の大学院、比べるどころか優秀な弟を自慢することの方が多かった。
自分にだけ厳しいと感じる親の躾に反発することは日常的で、「人様に迷惑だけはかけるな」とキツく言われ続けた記憶はしっかりと残っている。
それでもいまだに周囲の人たちにたくさんの迷惑をかけながら生きている。
そんな自分に声をかけ続けてくれた親の子どもに対する関心こそが「愛」なのだと今は理解できた。
旅をしながら学んだ文化や価値観の違いは、
「人に迷惑をかけない生き方より、人から迷惑をかけられても許せる人間で在りたい。」
という考えの材料になっている。
そしてこれもまたひとつの愛の形なのだと信じている。
旅するココロ
文化の違いを体感すれば、自分の心に新しい文化が作られる
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